ごあいさつ

野依 良治
次世代スーパーコンピュータ開発実施本部
本部長
野依 良治

スーパーコンピュータによるシミュレーションは、様々な分野で実験、理論と並ぶ重要な研究手法であり、今後の科学技術の発展になくてはならないものです。また、産業界においても、様々な製品の設計、開発に大きく寄与するものです。
我が国が将来にわたって科学技術の国際競争力を維持・向上していくためには、ハードウェアとソフトウェアの両面からスーパーコンピューティングに関する最先端の研究開発を行っていくことが極めて重要です。
このため、国は第3期科学技術基本計画の中で次世代スーパーコンピュータの開発と利用を「国家基幹技術」として位置づけ、その整備と利用を集中的に投資して推進することとしています。このための法律も整備され、理化学研究所はこれに基づき次世代スーパーコンピュータの開発と運用を担うこととなっています。
我が国全体の科学技術の高度化に不可欠な研究開発施設の開発・整備を行い、その利活用を先導することは、理研の重要な任務の一つです。理研は、その総力を挙げ、名実ともに世界一と認められる次世代スーパーコンピュータの開発を行い、全国の研究者、技術者に優れた利用環境を提供するとともに、次世代の人材育成を行う研究開発拠点の整備を進めていきます。

平尾 公彦
次世代スーパーコンピュータ開発実施本部
副本部長
計算科学研究機構 機構長
平尾 公彦

計算科学は、理論や実験とは異なるコンピュータによる数値シミュレーション という新しい研究手法により、科学技術のあらゆる分野の今後の発展と、わが国の国際競争力の向上に不可欠な知識基盤技術となっています。
現在、理化学研究所が整備を進める次世代スパコンが実現するペタスケール・コンピューティングは、非常に多くの分野でシステム全体のシミュレーション(まるごとシミュレーション)を可能とし、質的な変化をもたらします。複雑な挙動を理解・把握することが可能となり、確固とした科学的信頼度に基づく「予測の科学」を実現することが大きなテーマです。
このためには、計算科学と計算機科学の両分野の研究者を結集し、両分野が融合するような形で研究が進められ、従来にない手法で、基礎研究から応用、産業利用に至るまで優れた成果の創出に結びつけることが必要です。一刻も早く、ものづくりや気候変動予測をはじめ波及効果が大きいテーマで、世界を先導する成果を生み出すことも重要です。
理化学研究所では、オールジャパンの視点に立って、この次世代スパコンを幅広いユーザーにとって使いやすい施設にし、国内外の研究者が集まる研究拠点を構築するとともに、スーパーコンピューティング技術の将来に向けた更なる発展につながるように、関係機関やコミュニティとの密接な連携の下で、研究開発や人材育成を推進していきます。

渡辺 貞
次世代スーパーコンピュータ開発実施本部
プロジェクトリーダー兼副本部長
渡辺 貞

世界最高水準の次世代スーパーコンピュータは我が国の科学技術を牽引するものであり、最先端の研究開発を行うために不可欠な研究開発基盤でもあります。その適用分野は、物理・化学・生物学等の自然科学からナノテクノロジー、ライフサイエンス、ものづくり、環境・災害予測などあらゆる分野に広がるものです。加えて、スーパーコンピュータの開発には、半導体からシステムソフトウェアまで、コンピュータ技術を先導する技術開発が必要であり、継続的に発展していくためには、我が国にこの開発技術力を保持することが必要です。これらの技術が広く展開され、我が国の情報技術全体が発展することへの貢献も期待されています。このために、我が国が持つ技術を結集し、世界最先端・最高性能の次世代スーパーコンピュータの開発・整備を全力で推進していきます。