京速コンピュータ「京」を知る集い in 名古屋(開催報告)

 平成24年1月28日(土)に第6回目の「京速コンピュータ「京」を知る集い」を名古屋 東建ホール・丸の内(名古屋市中区丸の内二丁目1番33号)において開催しました。
 今回、146名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。
 各講師のプレゼンテーション要旨につきましては、こちらからご覧いただけます。プレゼン資料ついては下記のプログラムの中にPDFファイルで置きましたので、ダウンロードしてご覧ください。
 なお、当日回収させていただきましたアンケート調査の結果はこちらをご覧下さい。次回以降の開催の際の参考とさせていただきます。ご協力ありがとうございました。

■概要

  • (1)主  催:独立行政法人理化学研究所
  • (2)開催日時:平成24年1月28日 土曜日 14時~16時(受付13時30分~)
  • (3)開催場所:東建ホール・丸の内
            (名古屋市中区丸の内二丁目1番33号)
  • (4)定員:300名程度(先着順)
  • (5)プログラム
14時~14時5分

主催者挨拶

平尾 公彦
理化学研究所計算科学研究機構 機構長
14時5分~14時35分

世界最速スーパーコンピュータ「京」ってなぁに?プログラムpdf

横川 三津夫
理化学研究所次世代スーパーコンピュータ開発実施本部 開発グループ グループディレクター
14時35分~15時15分

スパコンで挑む地震と津波の高精度予測と災害軽減プログラムpdf

前田 拓人
東京大学 大学院情報学環 総合防災情報研究センター 特任助教
15時15分~16時

スーパーコンピュータが解き明かす生命の不思議プログラムpdf

秋山 泰
東京工業大学 大学院情報理工学研究科 計算工学専攻 教授

■講演要旨

■世界最速スーパーコンピュータ「京」ってなぁに?:横川 三津夫

 スーパーコンピュータ「京」は、1秒間に1京回(1兆の1万倍)の加減算を行える計算速度のものすごく大きなコンピュータです。この計算が速いスーパーコンピュータを使って、超長時間の現象(宇宙、気候、環境)、超短時間の現象(核融合、衝突、燃焼)、実験不可能な現象(結晶、分子構造、気象)等を、計算機の上で表現することにより、目では観測できないもの、予測できないもの、実験不可能なものを、観測することができます。
 「京」を開発するためには、一つ一つのCPUを出来るだけ速くすると同時に、8万個以上のCPUを高速に接続(Tofu: Torus Fusion)し協調させて動作させる技術が必要でした。このため、CPUは45ナノの半導体プロ セスという微細加工技術を用いて製造されました。
 「京」は現在、神戸に設立された計算科学研究機構に、864台の筐体の搬入が完了し、現在はハードウェアやシステム・ソフトウェアの確認と評価をしている最中です。今年6月にシステムの完成を予定しており、秋には本格運用の開始に向けて着々と整備が進んでいます。

■スパコンで挑む地震と津波の高精度予測と災害軽減:前田 拓人

 昨年の東北地方太平洋沖地震では、地震・津波そして地殻変動(地盤沈下)が組合わさることで、東日本の広い領域に甚大な被害をもたらしました。このような「複合災害」は、東北の地震に特有のことではありません。たとえば、1946年の南海地震の際、高知市では断層運動によって地盤沈下が起こったところに津波が流入したため、約半年という長期にわたって市街地が浸水する、という被害が起こりました。東海・東南海・南海地震地域では30年以内に40~80%以上の確率で巨大地震が起こると想定されており、同じような災害が繰り返される恐れがあります。巨大地震に伴う災害をシミュレーションにより詳細に予測し、対策に繋げていくことが重要です。
 「京」コンピュータを有効に活用することで、現行の数倍という高精度な地震・津波および地殻変動の予測が可能となり、このような複合災害の軽減に向けて大きく貢献するものと期待します。
 講演では、昨年の地震を振り返りつつ、地震災害の特徴や、複合災害を明らかにするための新しい計算手法の開発、また、その結果に基づく防災・減災への今後の取り組みについてご紹介しました。

■スーパーコンピュータが解き明かす生命の不思議:秋山 泰

 スーパーコンピュータが生命の研究に利用されていると聞くと、驚く方のほうが多いかも知れません。生命はとても複雑で神秘的であり、細胞のたった一つを取ってみても、とても数式でなど解明できなさそうに思えるからです。その感覚はおそらく正しくて、最新のスーパーコンピュータを使えば生命を完全に再現することができるなどと考えることは傲慢だと思います。
 しかし一方で、生命は我々が思っている以上に規則的な側面も持っていて、とても良く設計されたシステムのように動く部分もあります。いちど規則が判ってしまえば、それを再現して、ありとあらゆるパターンを調べ尽くそうとする研究にはコンピュータは最適です。実験データが大量に蓄積されてきたので、これらの結果をうまく説明するような筋の通った解釈(モデル)をコンピュータで探して、生命の不思議を解き明かす研究が進められています。
 講演では、生命の設計図(ゲノム)の解読の話をしました。ヒトのゲノムがおおよそ解読されたと2003年に発表されましたが、言うまでもなく我々は一人一人違う個性を持っており、その個性の源になっている個人差の部位がその後に良く研究されてきました。個人差の部位の配列パターンと病気の成りやすさには関係が発見されていますが、膨大な組み合わせからもっとも筋の通ったモデルを探すためにスパコンが活躍しています。それから、我々人間はひとりで生きていると誤解しがちですが、腸内・口腔内・皮膚などの微生物が助けてくれており、それらの微生物のゲノム解析も進んでいます。
 また、親から受け継いだ設計図はコチコチのワンパターンではなく、体調や加齢などで設計図のコピーの様子が変わることをお話ししました。設計図のコピーの様子のパターンと癌の悪性度の関係などがスパコンによって解明されつつあります。さらに、病気に立ち向かうための創薬や治療へのスパコンの応用を紹介しました。

■アンケート調査結果

※146名中134名が回答

Q1.ご職業を教えてください。

Q2.どちらからお越しになられましたか。

Q3.「京」を知る集いの開催をどこでお知りになりましたか。(複数回答)

Q4.講演内容について

Q5.開催時間について

Q6.京速コンピュータ「京」に関して、何に関心・興味がありますか。

■お問合せ先

独立行政法人理化学研究所
計算科学研究機構 広報国際室 岡田 昭彦
TEL:078-940-5625 FAX:078-304-4964
E-mail:aics-koho@riken.jp

印刷用チラシデータはこちらからダウンロードしていただけます。【pdf 389KB】